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特集「別表の体系を知る(基礎編)」別表五(二)編

   
  特集「別表の体系を知る(基礎編)」別表五(二)は、租税公課の納付状況等に関する明細書です。
  法人が当期中に何かしらの税金を支払った場合は別表五(二)の添付が必須となり、別表一、別表四、別表五(一)と並ぶ必須別表となります。
  そこで、今回は別表五(二)の書き方に理解を深めるために、先ず「租税公課」についてのお話を進めます。
  ■「別表の体系を知る(基礎編)」別表五(二)の構成
  租税公課について
  各税金と別表四への反映
  おわりに
     
   

租税公課について

   
   
  1. 法人の納税スケジュールの再確認
    先ず、法人が申告納税する主な租税公課の申告納税スケジュールを、3月決算の法人の場合次のよう用になります。
    固定資産税の納付は各市区町村によって異なります。
 
  2. 法人が納付する主な租税公課
    (1) 本税と附帯税等
      一般的に法人が支払う税金には「法人税」「住民税」「事業税」の3つあります。
      それぞれ、本税と附帯税等に区分され、まとめると下表の通りになります。
     
 
    (2) 本税の性格と取扱
      会社が何かしらの税金を支払うと「借方 租税公課XXXX / 貸方 現金XXXX 」 と経理処理すると思います。
      これは、事業活動を行う上で必要経費として見ているからです。
      この、租税公課のうち損金と認められない性格の税金が、大きく分けて法人税と住民税の2つがあります。
       
      法人税と住民税の性格と取扱
        法人税及び住民税は法人の「利益が生じて課税される性格なもの」に対して課税されます。
        簡単にいうと「儲け」に対して支払われる税金なので損金として認められないということになります。
        つまり、「儲け」は、利益処分的な性格となり、配当金と同じで損金性がないため「損金不算入」として別表四で加算調整を行う性格
        ものになります。
      事業税の性格と取扱
        事業税は、会社の事業活動に対して課税されます。
        つまり、会社は事業活を通じて収益を得るわけですから、その事業活動に対して課せられる事業税は必要経費として取扱われる性
        格となります。
      簡単に言い切ると、収益を得るための税金は損金として認められますが、収益(儲け)対する税金は損益として認められないという二通り
      りの税金の性格があるということになります。
         
    (3) 附帯税等の性格と取扱
      附帯税等は、課税の公平が害されたことにより課せられる制裁金(ペナルティ)の性格をもちますから損金として認められません。
      認めてしまうと、制裁金の分だけ法人税が減額になり、何のための制裁金か意味がなくなってしまうからです。
         
  3. 租税公課を資産計上した場合について
    会社が、税金を支払った時、「租税公課/現金」の費用計上ではなく「仮払税金/現金」と資産計上した場合は、一旦「仮払税金認定損」を設
    けて全額損金計上したことにします。
    その後、「仮払税金認定損」の内訳をみて、「儲け」に対する税金なら加算調整を行い、また制裁金なら同じく加算調整を行い、加算・減算の調
    整を行います。
       

各税金の取扱と別表四への反映

         
  1. 法人税の取扱
    法人税に関する申告調整項目は、中間申告納付、確定申告納付、修正申告納付ともに下記の通りとなります。
         
    延滞税 :中間申告書、確定申告書をその提出期限までに提出したが、その申告書に係る納付が納付期限後になったとき。
      :期限後申告書、修正申告書の提出により、納付すべき本税があるとき。
     
    無申告加算税 :期限後申告書の提出があったとき。
      :期限後申告書の提出後に修正申告書を提出し、納付するべき本税があるとき。
       
    過少申告加算税 :修正申告書の提出により納付すべき本税があるときに課せられる制裁金です。
       
       
    重加算税 :申告の基礎となった事実の全部又は一部を仮装又は隠ぺいして申告書を提出したときに無申告加算税又は過少申告加算税
      に代えて課せられるより重い制裁金です。
       
    利子税 :申告書の提出期限の延長により、予め許可を得て納期期限後に納付するときに課せられる一種の支払利息です。
       
   
     
  2. 住民税の取扱
    住民税に関する申告調整項目は、中間申告納付、確定申告納付、修正申告納付ともに下記の通りとなります。
     
    法人税割 :法人税額を課税標準として課せられる住民税のことをいいます。
       
    均等割 :法人税にかかわらず、資本金等の額に応じて課せられる一定額の住民税額をいいます。
       
    延滞金 :「申告書の提出期限の延長にかかるもの」と「それ以外ののもの」がありますのでご留意下さい。
       
    利子割 預貯金の利子等の支払いを受ける際に課せられる住民税(受取利息×5%)のことをいいます。
       
     
  3. 事業税の取扱  
    事業税税に関する申告調整項目は、中間申告納付、確定申告納付、修正申告納付ともに下記の通りとなります。
     
   
  4. その他の租税公課について
    その他の租税公課の扱いは以下の通りとなります。
       
 
    過怠税 :印紙税を納付しなかった場合(印紙を貼らなかった場合等)に課せられる制裁金です。
       
    不納付加算税 :従業員などから預かった源泉源泉所得税を法定納期までに納付しなかた制裁金です。
      この場合必ず源泉所得税に係る延滞税も課せられますが、これも損金不算入(別表四の6:損金の額に算入した附帯税・加算
      税・加算金・延滞金及び過怠税)加算・社外流出となります。
       
      損金算入となる租税公課はいずれも本税部分です。
      別途延滞金や加算金が課せられるときは、その延滞金等は損金不算入(別表四の6:損金の額に算入した附帯税・加算金・延
      滞金及び過怠税)加算・社外流出となります。
       
      罰金・反則金に含まれるものは、その法人が本来負担すべきものだけになります。
      社員等が負担すべきものを法人が負担した場合は、その社員の給与として取り扱われますのでご留意下さい。
       
   
  終わりに
    次回の特集は、本日の租税公課と別表四と併せて「別表五(二)の書き方」についてお話をします。